無機質にアウトプット

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【書評】『しっかり!まとまった!文章を書く』l タイトルにピンと来たら絶対読んでほしい

「文章力」。それはブロガーの永遠の課題と言える。しかし、なにが課題なのかは人それぞれだと思ってる。

 

ワタシなんかは「なんとなく書きたいことはあるのに、何から書き始めていいかわからない」とか「感想を書こうと思ったのに一行で終わってしまう」などに悩むことが多い。

 

もし、ワタシと同じような悩みを持つ人がいれば、前田安正さんの『しっかり!まとまった!文章を書く』を是非読んでほしい。タイトルに違わず「しっかりした文章」を書くための指南書と言える本だった。

しっかり! まとまった! 文章を書く

しっかり! まとまった! 文章を書く

 

本書を読んでほしい人

本書はこんな人にオススメ。

  • いざ文章を書こうとすると、パソコンやスマホの前で手が止まってしまう人
  • 映画や本の感想が「~は面白かった」「~が感動した」など小並感溢れる一行で終わる人
  • SNSに投稿するような短文ばかりでなく、読みごたえのある文を書きたい人

あらゆるパターンの例文が豊富なので、ブロガーだけではなく、エントリシート書く就活生、報告書を書くビジネスマンが読んでも間違いなく役立つ。

 

 

しっかりした文を書くポイントは"Why"

この本は、タイトルある通り「しっかり・まとまとまった」文章を書くことにフォーカスした本。

 

そのための核となるポイントは「Why(なぜ・どうして)」にこだわること。

 

5W1H」というのは、皆さんも聞いたことがあると思う。「いつ(When)・どこで(Where)・だれが(Who)・何を(What)・なぜ(Why)・どのように(How)」だ。

 

往々にして、文が続かない人は「いつ・どこで・だれが・何を・どのように」まで書けてても、なぜその行動をしたのか?なぜそう感じたのか?の理由=Whyに当たる部分がおろそかになっていることが多いらしい。

 

例文を通して文章の書き方が学べる

本書の良い点は、上記のポイントを例文と改善文を使って、具体的に解説してくれるところだ。

【例文】

きのう、僕は動物園でライオンを見ました。  

 

これは「いつ=きのう、誰が=僕は、どこで=動物園で、何を=ライオンを/どうした=見ました」という4Wで書かれています。  しかし、「なぜ動物園に行ったのか」「なぜライオンを見たのか」という要素がありません。そのため、読み手は読後に「ライオンを見たのはわかったけど、それが何なの?」という思いにとらわれます。あらかじめ、読み手の疑問に答えるように文章を書いていきます。

 

【改善文1】

きのう、学校の遠足で動物園に行きました。僕は小さい頃から『ジャングル大帝レオ』という本が大好きだったので、真っ先にライオンを見にいきました。

 

こうすると、なぜ動物園に行ったのか、なぜライオンを見たのかという理由、つまり「Why」の要素がはっきりします。

本書内では、この改善文①をさらに掘り下げていく。文を書き足していくことで、内容が深まっていく過程を実際に見ることが出来る。

 

なぜ?なぜ?に答える形で文に肉付けしていくと、自ずとまとまった文章になることに納得してもらえるはずだ。

 

感動を伝えるポイントは過去との比較

「綺麗だった」「面白かった」という表現はストレートでわかりやすい。しかし、文章しての深みは出しづらい。

 

本書では、直接的な表現を使わずに感動を伝えるポイントも紹介してくれている。それは「過去の経験と比較する」こと。

 

【例文】

父の実家で見た夕日がきれいだった。

 

【改善文】

いつも学校帰りに見ていた都心の夕日は、どんよりくすんだオレンジ色で輪郭がはっきりしなかった。しかし、父の実家がある秋田の田園地帯で見た夕日は、輪郭がシャープだった。西の低い空からオレンジの光が直線的に差し込んでくる。水田の水面からも反射した西日がまぶしい。一日の終わりがこんなにも光にあふれているものだとは知らなかった。

これも過去の経験と比較することで「なぜ夕日が綺麗だと思ったのか?」「これまで見てきた夕日とどう違ったのか?」という疑問に答えている。

 

手法は違えど、ベースとなるのはWhyにこだわることに変わりはない。

 

著者はこんな人

著者の前田安正さんは、朝日新聞メディアプロダクション 校閲事業部長という職につかれている方。一言で言えば朝日新聞の超ベテラン校閲記者さん。

 

『マジ文章書けないんだけど ~朝日新聞ベテラン校閲記者が教える一生モノの文章術~』や『3行しか書けない人のための文章教室』といった文が書けない・続かない人向けの文章術本を多く書かれている。

マジ文章書けないんだけど ~朝日新聞ベテラン校閲記者が教える一生モノの文章術~

マジ文章書けないんだけど ~朝日新聞ベテラン校閲記者が教える一生モノの文章術~

 
3行しか書けない人のための文章教室

3行しか書けない人のための文章教室

 

他の本は読んでないが、レビュー・感想を見る限りどの本でも「Whyにこだわる」という主張は欠かしてないみたい。

 

主張が一貫している著者さんには、好感が持てるよねー。

 

まとめ

この本は、SEOやキャッチーなフレーズ・表現など、いわゆるネットでバズるような文の書き方を教えてくれるわけではない。

どの媒体でも使える、ある程度堅さを持った文書の書き方を教えてくれる本だ。

 

昨今はSNSがアウトプットの主流となり、どちらかといえば文は短く、それこそキャッチーに表現できることがトレンドなのかもしれない。なので、そういう文章の書き方を学びたい人は別の本を当たることをおススメする。

 

一方で、ワタシなんかは「曲がりなりにもブロガーを名乗るのであれば、モノ書きとしてそれなりに恥ずかしくない文を……」なーんて内心密かに思っている。(中身が伴ってるかどうかは、また別の話……)

 


そして、ワタシと同じ思いを持つ人は他にもいっぱいいる思ってる。そんな人達に是非読んでほしい一冊だ。