無機質にアウトプット

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【書評】『捨てる。手を抜く。考えない。-月460時間労働から抜け出した私の方法-』

今回紹介する本は、須田仁之さん著『捨てる。手を抜く。考えない。』

書店でタイトルを見かけた瞬間、思わず即買いしてしまった一冊。

語呂の良いタイトルが全てを表している仕事効率化の本。

捨てる。手を抜く。考えない。月460時間労働から抜け出した私の方法

捨てる。手を抜く。考えない。月460時間労働から抜け出した私の方法

 

 

本書を読んでほしい人

本書はこんな人にオススメ。

  • 自分の抱えているタスクが全然終わらない人
  • 「嫌われる勇気」というワードが好きな人
  • 本書のタイトルにピンと来た人

 

本書では、著者が月460時間という激務の時代を経て見出した、53個の仕事効率化のノウハウを紹介している。

 

著者のスタンスが面白い

ノウハウは会議、資料作成、チームマネジメント、情報収集などあらゆる場面で実践しやすいモノが多い。

 

しかし、本書の最も面白いのは、ノウハウの中身ではなく、著者の一貫したゆるさだ。

 

ビジネス書といえば、物事を自分の頭で考え、高い成果を出して自身の市場価値を高めてく!と熱のこもった本が多い。

 

最近なんかは「AIに代替されないように」みたいなキーワードをもとに、教養や思考法をテーマにした本も数多く世に出ている。

 

本書はそういった本とは全く違う。常に根底あるのはタイトルにある「捨てる。手を抜く。考えない」だ。

 

何よりもスピードが求められる時代だからこそ

著者がこのスタンスを貫くのは、当然理由がある。

かつての「整理して所有する」「何事も一生懸命に取り組む」「自分の頭で考える」ことが重視されていた時代は終わりました。今は「気合いと根性」よりも、「ゆるふわ」な状態で成果を出すことが求められる時代です。

 

芸術や高度なクリエイティビティが要求される仕事は別でしょうが、それ以外の大半の仕事は、 何よりも「処理スピード」を優先すべきです。

考えようが、考えまいが、結局仕事は毎日山のように振ってくる。「自分の力で全部やる!」にこだわらず、とにかく速く仕事を処理することが大切ということだ。

 

日々忙殺されているサラリーマンとしては、とても共感できる。

 

「嫌われる勇気」の危険性

ただし、この著者は、なんでも手を抜いて自分だけが楽をすればいい!と思ってる人では決してない。

 

働く上で何よりもまず大切にしなければいけない事をコラムとして書いており、ワタシはパンクバンドのヘドバンばりに頷きが止まらなかった。

副業や複数のキャリア、自由な転職をする傾向が強まっています。そのせいなのか「人の目を気にしすぎるな、オレはオレのままでいいんだ」という、いわゆる「嫌われる勇気」が重視されているように感じます。

 

この「嫌われる勇気」思考は、少し履き違えると危険だと思っています。

 

他人に嫌われてもいいからオレ流でやろうぜ」と考える人が増えると、ずいぶん住みにくい社会になってしまいそうです。

 

そもそも仕事とは、自分一人だけで完結することはありえません。「他者との関係性」が必ず発生します。

 

僕は、仕事をするうえで「人に迷惑をかけない」「周囲の人を幸せにする」という基本原則は誰もが持ち合わせておくべきと考えています。

多様で自由な働き方が広がっていくことは大切。でもそれはお互いの尊重の上で成り立っていくべきであって、独りよがりのわがままじゃダメだと思う。

 

ワタシも前時代的な慣習とかは極力避けたいし、”今どきな”な働き方をしていきたい方だが、だからこそ、考えさせられる内容だった。

 

さいごに

今回は著者自身のスタンスに注目して書いたので、53個々のノウハウの内容自体には触れなかった。

 

目次を見ると、各節がノウハウの要約になっているので、著者の考え方に共感し、気になる節があったら、是非本書を手にとってみてほしい。

第1章 頭を使おうとしている人ほど仕事が遅い。
孫社長に怒鳴られても、くじけなくなる。
矛盾は解決せずに受け止める。
成果が出ない人ほど思考したがる。
勘違い人間はなぜ生まれるのか
孫社長に学ぶ脳の鍛え方。

など

 

第2章 コミュニケーションはムダが9割。
「自分ウィキペディア」で作ろう。
オレオレ目線を捨てる。
「笑う会議」のススメ。
メールは即削除。
「即レス」の落とし穴。
マウスを使うな。
など

 

第3章 ゆるく尊敬される上司が最強。
日報なんて糞くらえ。
赤ペン先生になれる人」が最高の上司。
「バッドニュース・ファースト」で炎上を防げ。
「丸投げ」したほうが部下は育つ。
うざがられる人ほど強いチームをつくれる。
など

 

第4章 元資料作成マシーンによる手抜き術。
資料づくりの基本は「TTP」
「矢印」を多用せよ。
紙もデータも1枚にまとめる。
その場の反応を見ながら臨機応変に。
など

 

第5章 情報収集力を高めるスキマ時間活用法
「自分の頭」で情報を解釈するな。
希少な情報を持つ「レアポケモン」を探せ。
書評を先に読め。
個人の時代、怪しい人間に騙されるな!
歩きながら「音」で情報収集する。
など

 

第6章 効率化ばかりしていると退屈な人間になる
周囲に効率性を求めすぎてはいけない。
直感に従えば、点と点が結びつく。
「きっかけ」をくれる人は意外なところに。
成功者に学ぶ「運気」を磨き方
など