【まとめ】会計本を何冊かまとめて読んだので、オススメ順に5冊紹介する
1.は損益計算書(P/L)、貸借対照表(B/S)、キャッシュフロー計算書(C/F)のいわゆる財務諸3表の位置づけや意味、その読み方を解説してくれるタイプ。どっちかというと会計のマクロな世界についての本。
2.は単的に言えば、儲かるためにはどうすればいいかを会計知識を用いて解説してくれるタイプ。1.と比較して会計のミクロな世界についての本。
個人的感覚だが、わたしを含め多くのビジネスマンは1.のパターンを求めている気がする。なぜならば多くのサラリーマンは売価や原価、固定費や変動費を独自にコントロールできる立場ではなく、ある程度組織が握っているから。(少なくともわたしはそう)
経理や組織全体の業績を管理するような管理職でなければ、会計の知識は別になくても日々の業務にはそこまで影響はないと。でも、なんとなく財務諸表ってビジネスマンにとっての一般教養だよね?っていう空気が1.のパターンの需要を生んでいる気がする。
一方で、自営業とか自分で会社を経営している人にとっては、売価や原価、固定費とかは健全な経営のために当然意識しなければいけない要素なので、2.の方が向いているのではないかと思っている。
そんなわけで、この記事でもオススメしている本のほとんどが1.のパターンなので悪しからず。
わたしのオススメ会計本 BEST5
前置きが長くなったが、本題に入っていこう。特にもったいぶることなく1位から発表!
第1位『図解「ROEって何?」という人のための経営指標の教科書』小宮 一慶
会計本をもし一冊手元に置いておきたいのであれば、間違いなくコレ。ROEにフォーカスしたタイトルのように見えるが、財務諸表の読み方を丁寧にわかりやすく説明してくれた上で、ROEやROAといった経営指標の意味、そしてその使い方を教えてくれる。
本書の良いところは紹介された経営指標の基準となる値も教えてくれる点だ。「ROEがこのくらいの値だったら優良企業」といったように確かな目安を提示してくれる。
本書があれば誰でも実際の企業の決算書を読み解いて、その企業の経営状態を分析することができるだろう。それだけわかりやすい。何回も読み直したい。
ちなみに同著者、同タイトルでPHP新書版があるが、図解版の本書のほうが要点が図として強調されているし、版としても新しい。なので図解版をオススメする。
第2位『ざっくり分かるファイナンス 経営センスを磨くための財務』石野 雄一
会計本ロングセラー。Kindle Unlimited、Prime Reading対象にもちょくちょくなっているので知っている人も多いと思う。
正確には会計本ではなく、ファイナンス本であり、本書の中でも会計とファイナンスは明確に違うことを記しているのだが、わたしは会計本を読めば読むほどその差はわからなくなってしまった。本書でファイナンスとされている分野が、他の書籍は会計の分野として紹介されていることも多々あるからだ。それだけかなり曖昧な境界なんだろう。
会計とファイナンスの差は一旦置いておいて、ロングセラーだけあってよくまとまっている。経営に必要な指標ROE、ROE、そしてWACCなどについて説明されており、企業は根底的に何を目指すべきなのか?が本書を読むことで理解できる。また未来のお金の価値の計算方法についても解説してくれており、ここがわかると世の中が違って見えてくるはず。
「今の100万円と1年後の100万円の価値は違う」と言われて頭に??が浮かぶ人は是非読んでほしい。
ちなみに比重の違いはあれど、説明している範囲は第1位の『図解「ROEって何?」という人のための経営指標の教科書』にかなり近い。わたしは本書を読み、その後『「ROEって何?」〜』を読んだのだが、新書ならではのこの本の説明の堅さを『「ROEって何?」〜』がかなり補足してくれた。
お互いの説明を補完する形になるので、2冊買う余裕があればどちらも揃えておきたい。
第3位『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?~身近な疑問からはじめる会計学~』山田 真哉
こちらも会計ブームを引き起こした大ベストセラー。サブタイトルのとおり「さおだけ屋はなぜ潰れないのか?」を始めとした身近な疑問に対して、会計学の要素使って答えていく本。
前述した1.、2.のどちらのパターンにも当てはまらず、会計本の皮をかぶった自己啓発本だとわたしは思っている。本書を読んでも財務諸表は読めるようにならないが、読み物としてはおもしろく、「なるほど。これがベストセラーか」と納得した。
とくに会計学に絡めつつ著者の人生に対する考えや、示唆が随所に散りばめられているのがよい。
第4位『経理以外の人のための 日本一やさしくて使える会計の本 』久保憂希也
2.のパターンよりの本。ストーリー仕立てになっており、「こういうときに会計感覚が必要なのか」と思わせてくれる1冊だった。個人的に減価償却資産の説明は本書が一番わかりやすかった。
第5位『人事屋が書いた経理の本』 協和醗酵工業㈱
1.と2.のパターンが半々くらいの本。協和醗酵工業株式会社さんの研修で使われていたマニュアルを本にしたものらしく、ページ左側にスライド、右側に説明テキストというレイアウトで一貫されている。
敬愛する山口周氏の『外資系コンサルが教える 読書を技術につなげる技術』のビジネス書マンダラで必読に指定されていたので期待していたのだが、他の本に比べるとピンとこなかった。
書かれた時期が古いこともあり、キャッシュフロー計算書には全く触れられていない。採算を取ること=固定費を回収すること、すなわち損益分岐点を計算することにフォーカスしており、その計算方法を独自の手法でまとめている点はおもしろかった。
その他
ランクインしなかった本たち。
『決算書はここだけ読め!』前川 修満
古本屋ではじめて買った会計本。決算書を読むための5大要素として「資産」「資本」「負債」「収益」「費用」とそれぞれの利益に着目しているのが特徴。冗長な部分が多く、文章があんまりうまくなかった。
『 「数字」が読めると本当に儲かるんですか?』古屋悟司
「儲けパワー」として限界利益にフォーカスしたがっつり2.のパターンの本。紹介記事はコチラ。