無機質にアウトプット

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【読書メモ・感想】市川清太郎『朝8時までの習慣で人生は9割変わる』

時間をムダづかいするのは、「人生の時間にはかぎりがある」「人間は必ず死ぬ」という当たり前の事実を忘れてしまっているからではないでしょうか?

ー 市川清太郎『朝8時までの習慣で人生は9割変わる』より

 

Kindle Unlimitedで市川清太郎さんの『朝8時までの習慣で人生は9割変わる』を読んだ。結論から先に書いてしまうとKindle Unlimitedサブスクリプション内でタダで読んでいなかったら、後悔していただろうと思う内容だった。積極的にはオススメしない。

朝8時までの習慣で人生は9割変わる

朝8時までの習慣で人生は9割変わる

 

 

本の概要

タイトルからわかるように、ビジネス書のテーマとしては滅びることがない「早起き本」「朝活本」に部類される。だが、わたしが冒頭で本書に対してあまり良い評価をしなかったのはその構成にある。

目次を引用してみよう。

  • 1章 できる人の早起きテクニック&「朝時間」の使い方(もしも明日、死んでしまうとしたら?;成功の秘訣は「少しだけ」ズラすこと;なぜ、朝が重要なのか? ほか)
  • 2章 「朝時間」であなたの年収を10倍にする方法(「収入を10倍にできる人」と「できない人」の違いとは?;「お金の増やし方」を知る;お金持ちが持っている「本物の資産」とは? ほか)
  • 3章 仕事のスピード&成果を10倍アップさせる方法(「すぐやる人」になるための技術;あなたの「眠っている才能」を開花させる方法;新しいビジネスを生み出す「企画力」の磨き方 ほか) 

おわかりいただけるだろうか。いかにも「早起き本」な雰囲気のテーマを醸し出していながら、早起きのテクニックについては全体の1/3だけだ。残りは不動産投資、太陽光発電投資によるお金の増やし方と著者なりの仕事術に紙面が割かれている。

 

たしかに表紙には『できる人の早起きテクニック&「朝時間」の使い方』のサブタイトルが銘打たれているが、このタイトルで太陽光発電投資の話はいささか拡大解釈過ぎはしないだろうか。

 

伝えたいことが多岐にわたるのは良いことなのかもしれないが、その分各章の中身は薄くなってしまった印象を受けた。まぁわたしの本書へのモチベーションが「早起きの習慣の身につけ方」であり、事前に目次をきちんと抑えておかなかったこともあるので、読み手に問題がある、と言われれば返す言葉もない。

 

著者の紹介

著者は経営コンサルタントの市川清太郎さん。本書を含めて4冊本を執筆しており、どれもビジネス書である。

 

本書を一言でまとめると

前述のとおり、テーマが発散している感があるのでなかなか一言で表すのは難しいのだが、本書の「おわりに」で著者自身がビジネス書や自己啓発本は結局のところ一言で表すと?という一節を書いているので、今回そこから引用する。

自己啓発書の要点」とは、いったい何なのでしょうか?それは、「いかに今の自分を壊すか」ということです。 

朝早く起きて、時間を捻出するのも突き詰めれば今の自分を壊すためということになるのだろうから、この主張には概ね同意する。

 

読書メモ

以下は引用を交えつつ、気になった箇所をメモ。3章構成であるが、早起きの習慣を身に着けるテクニック目当てで読んだので、おのずと1章にフォーカスしたメモが多い。

 

早起きの限界は朝5時半

例えば、睡眠学の権威である遠藤拓郎先生は、ベストセラーとなった『朝5時半起きの習慣で、人生はうまくいく!』(フォレスト出版刊)という本の中で「早起きの限界は朝5時半である」と結論づけています。

一概に「早起き」と言っても何時を目標にすれば迷うことがあったが、5時半が良いらしい。これは先日読んだ『自分を変える習慣力』でも朝5時半に起きることから始めてみなさい、という旨のことが書かれていたし、科学的根拠はわからないけれど、1番頑張りやすそうな目標である。5時以前だとあまりに早過ぎてキツそうだし、6時以降だとそこまで達成感がない。

 

自分を変える習慣力 (Business Life 1)

自分を変える習慣力 (Business Life 1)

  • 作者:三浦 将
  • 発売日: 2015/11/24
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

「深夜の食事は避けること」「できるかぎり規則正しい時間に食事をすること」

早起きの習慣を身につけるための2つ目のコツは、何なのでしょうか? それは「朝食を欠かさないこと」「深夜の食事は避けること」、そして、「できるかぎり規則正しい時間に食事をすること」 です。

人間の体内時計は、基本的に 25 時間で動いているといわれています。 これを地球のリズムに合わせて、 24 時間にリセットするのは、太陽の光、とりわけ、 朝の太陽の光を浴びることが肝心 であるといわれてきました。

「早起き系」の本を読んだことがある方は、一度は聞いたことがある話なのではないでしょうか? ところが、最近の研究で「太陽の光、つまり明暗のリズムよりも、食事のリズムの方が、体内時計に与える影響が大きい」 ということがわかってきたそうです。

「体内時計のリセットポイント」の基本的な考え方は、「食べない時間が一番長いところ」で、体内時計がリセットされる ということです。

体内時計は地球のリズムとズレているという話、その対策のために日光を浴びることが重要というのはよく聞く話だが、食事のリズムが大切というのは初耳だったので、これは新しい発見だった。

 

朝起きてすぐは「ジョブ」から始めて集中力を高める

日本本語では、一言で「仕事」といいますが、仕事は主に「ジョブ」と「ワーク」の2つに分けられます。

簡単にいうと、「ジョブ」はあまり頭を使わないような「単純作業」 のことを指します。 これに対し、「ワーク」はアイデアを出す「創造的な作業」 のことを指します。

この両者には、決定的な違いがあります。 「どちらの仕事の方が集中しやすいのか」という観点で考えると、集中しやすいのは「ジョブ」、つまり、あまり頭を使わない「単純作業」 です。 

唯一、3章(仕事術の章)から引用。せっかく朝早く起きて捻出した時間もぼぉ〜と過ごしては意味がない。

 

よく「嫌な仕事から取りかかれ!」と聞くが、エンジンをかける意味でわたしは「ジョブ=単純作業」から取り掛かる、というこのやり方の方が合ってそうだなと感じた。

 

ただひとつ注意点があるらしく、どんなにノっていても30分で切り上げることが重要らしい。確かに単純作業をこなすことが目的ではないし、そもそも30分もやれば胆汁作業でも効率が落ちるからだそうだ。

 

感想

正直当たらなかった本書だが、教訓はあった。ひとつは「目次をちゃんと読め」という教えは正しいということ。ふたつ目はビジネス書出版も大変だなということ。 

 

前者についてはそのまま。後者については著者、編集・出版側の思惑を強く感じたゆえの教訓だ。「早起き」のテーマひとつだけではそこまで内容を膨らませなかったこともあるだろうし、でも読んでもらうにはある程度盛ったタイトルをつけなければいけない。読み手側もその本の内容的な厚みを見極められる技量が求められるわけですな。

 

もう一つ良かったことがあって、今回のわたしの読書の目的と明らかにズレるなって内容が多かったため拾い読みが簡単であり、練習になったこと。どうしても貧乏性のわたしは本を最初から最後まで読んでしまう。読書の費用対効果アップのためにも、引き続き拾い読みに慣れていきたい。