無機質にアウトプット

読んだ本や観た映画の感想を書いていきます。

【感想・ネタバレあり】映画『ドクター・スリープ』

 先週、『シャイニング』を観たので、せっかくなので勢い冷めぬうちに昨年末(2019年末)に公開された『ドクター・スリープ』を観た。

 

jokigen.hatenablog.com

 

 ちなみに、影響を受けやすいわたしはこの1週間ことあるごとに、『シャイニング』のテーマソングを鼻で歌い、脈絡もなく「Here's  johnny」のセリフを口にしている。夫のアホな所業に相方氏の気がおかしくなり、包丁を持ち出さないことを切に願う。

 

 ところで、もし子どもができたら、古典的洋画の名シーン繰り返し見せるような教育を施せばそれなりの英語語彙力が着くのではないのか?と割とマジメに思っている。「I am your father.」とか「I'll be back.」、「I love you 3000.」なんてそこそこ使い勝手よさそうではないだろうか。(一番最初のセリフはいち早く使われても困るのだが)

 

ドクター・スリープ(字幕版)

ドクター・スリープ(字幕版)

  • 発売日: 2020/03/11
  • メディア: Prime Video
 

 余談が過ぎたので、『ドクター・スリープ』の話に戻そう。『シャイニング』の続編ということと、オビ=ワン・ケノービの役者さんが主演ということしか知らなかった本作であるが、たまたま先日よくお邪魔する映画感想ブログ『オーガナイズド』さんで記事が上がっていた。

organeziezd.hatenablog.com

 そのときはネタバレを避けるために短評部分しか読まなかった。勝手ながらここでその短評を引用させていただく。

かの有名な『シャイニング』の続編である。というわけで、一応はホラーのカテゴリーになるのだと思うが、実際にはホラー映画という感じはしないし、怖くもない。シャイニングなる特殊能力の存在を前提とした話なので、どちらかと言えばヒーロー映画である。“呪われし能力を持つヒーローの物語”といった趣だった。これはこれで楽しめたが、やはり三十郎氏が好きなのはキューブリック版の『シャイニング』なのだと思わずにはいられない。

『ドクター・スリープ』 - オーガナザイズド

 短評を読んだときはヒーローもの!?と若干驚いたが、実際観てみると、なるほどな、という印象だった。わたしなりに表現すると本作は『シャイニング』の世界観を持った『SPEC』のような作品だった。

 シャイニングという超能力はある前提の世界観で、シャイニングホルダーのほとんどは自身の能力に気づかないか、気づいていてもそのことを周囲に隠している。

 

 一方でローズという女性が率いる謎の集団トゥルー・ノット(Wikiによるとヴァンパイアの集団らしい)は、幼いシャイニングホルダーを捕らえて食らうことで、人外の存在として長い歳月を生きていた。

 

 事件は、そのトゥルー・ノットの悪行を強いシャイニングを持つ女の子アブラが念視してしまうことによって起こる。アブラはそのことを幼い頃からシャイニングで通じていたダニーに相談することで、物語は動いていく。

 

 

 『シャイニング』の世界観を持つといっても、超能力ありきなので、戦闘描写のようなものが多く、前作のような作品全体に漂う不気味さはほとんどない。なので、『シャイニング』とは別モノと考えるほうがよいだろう。

 

 ただそこを割り切ってしまえば、かなり楽しめる作品だったと思う。クライマックスで再び現れる「展望ホテル」での戦いはファンサービス感が強く出しすぎていた感は否めなかったものの、それでもテンションがアガらずにはいられなかった。

 

 惜しむらくは、ローズにはもっとホテルの呪いに苦しんでほしかった。エレベータ前の血の海、双子の少女、バルルームの老婆。謎の犬の着ぐるみ男。ギミックはいっぱいあるはずなのにあまり活かされなかった気がする。

 

 血の海もローズは臆することなく素通りしていたが、あれではビビっていたわたしの立つ瀬がない。

 

 これまでダニーが捕らえた亡霊を解き放って、ローズに襲わせるというオチも早い段階で予測できたものの、もっと残虐に痛めつけてくれてもよかった。

 

 一番惜しかったのは、今回バーテンダーとして登場したダニーの父、ジャック・トランスの役者さん。ダニーの葛藤を表すために登場してくれたのは嬉しいが、ジャック・ニコルソンのそっくりさんでは締まらない。あそこで本人ご登場だったら、わたしの中で神作だったのだが、まぁギャラ的に無理なんだろうなと。

(2020.07.26追記)

 コメントにて教えて頂いたのだが、2010年の映画出演を最後にそもそも引退していたららしい。教えてくださったビックル三十郎さま(id:Bickle30raw ) ありがとうございました。試しにジャック・ニコルソンをググってみるとまぁなんともまるまると肥えてしゃってて。こりゃ引退していても、今回の役は無理だろうなぁという感じだった。月日とは残酷なものである。

 

 全体を通してもうひとつ忘れられないのが、ダニーの友人ビリーの死である。ダニーの恩人とも言える彼の死には胸が痛む。普通の感性だったら、狂人とも断じてもおかしくない友人の言葉を信じ、協力したばっかりに……というやるせなさは大きかった。そういうこともあり、ローズには思いっきり苦しんでやられてほしかった。

 

 ということで、惜しいところもあるが1つの映画としてのまとまりはあって良い作品だったと思う。『シャイニング』を観たことある人は観て損はないはず。