【感想②】『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』
前回に引き続き『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』の感想を綴っていく。
前の記事では自分と本作品のファーストコンタクトで力尽きてしまったので、今回は本筋の感想に触れていこう。
繰り返しになるが改めて観返してみて、シリーズの中で本作が1番好きだと感じた。小学校の頃に何度も観た作品ではあるが、設定や物語の位置づけを理解した上でシリーズの他作品を通しで観た今だからこそハッキリとそれが言える。
言い方がアレだが「こんなにも面白かったっけ?」と驚くほどの面白さだった。今回はなぜそこまで面白かったかを3つの観点から書いていこうと思う。
師弟関係の描写
まずなにより、クワイ=ガン・ジンとオビ=ワン・ケノービの師弟関係が良い。
スター・ウォーズ作品のジェダイといえば師(マスター)と弟子(パダワン)の2人1組のイメージが強い。
しかし旧三部作では時代背景上ジェダイは滅亡しており、ジェダイとしてはほぼルークの単体行動である。
そのためマスターとパダワンが2人で行動する姿は本作にて初めて描かれたことになる。
小学生の頃に比べるとワタシも多くのドラマ、映画、小説に触れてきた。その過程で固まってきた自身の嗜好も自覚しており、『相棒』、『チームバチスタ』シリーズ、『シャーロック・ホームズ』など”コンビもの”というジャンルはワタシの中でかなり上位に位置する。
そんなワタシからするとクワイ=ガンとオビ=ワンの師弟関係はどハマりだったわけだ。
時には師に意見することもあるが、最後には必ず「はい。マスター」と返し、クワイ=ガンの求めることを先読みしたうえで、事前に対応できちゃうオビ=ワンはまさに「デキる部下」。
一方クワイ=ガンも決して師匠の権力的な圧力でオビ=ワンを従わせるのではなく、実力で弟子を正しく導く「理想のメンター」だ。しかも彼はオビ=ワンの優秀さを素直に認めている。
2人はコンビとして波長が見事に合っており、観る者にその信頼関係が見事に伝わってくる。何て言うのだろう……観ていてとても気持ちが良い。
クワイ=ガンはオビ=ワンを買ってるし、弟子としても誇りを持っている。オビ=ワンもクワイガンを心から尊敬している。
それが観てる側にも伝わっているからこそ、終盤のクワイ=ガンの「アナキンをジェダイにして欲しい」という遺言と、その遺言を必ずや実現してみせるというオビ=ワンの決意に重みが出てくる。アツい。
クワイ=ガン・ジンが魅力的
クワイ=ガン個々で観てもキャラとしてめちゃくちゃカッコイイのが2つ目の理由。
本記事冒頭で「こんなにも面白かったっけ?」と驚いた、と書いた。これは「クワイ=ガンって、こんなにカッコ良かったっけ?」とも言い換えられる。
常に冷静沈着で堂々としており他者に対して丁寧に振る舞える姿は、まさに高潔なジェダイ・マスターだ。
ただし別に良い子ちゃんというわけではなく、目的達成のために狡猾な部分があったり、自分の信念に基づき評議会に従わなかったりなど、ジェダイ内では異端児的な位置づけにいるのもGOOD。
そんな彼の頼もしさと安心感は半端ない。冒頭ナブーに元老院の特使としてフードで顔を隠した状態で現れるシーンから只者じゃ無い感が伝わってくる。
以前の記事で「マントを被って登場するジェダイは強い」的な表現でジャバの屋敷に乗り込むルークを称賛したが、このイメージは小学校の頃観ていた本作のクワイ=ガンから来ているんだなと思った。
また、彼が重要視する概念「リビング・フォース」にも共感できる。
評議会(特にヨーダ)が未来がうんちゃらとか言ってばかりの中、クワイ=ガンは「今に目を向けること」を大切にしている。
旧三部作でオビ=ワンたちが使っていたフォースによる霊体化の術をクワイ=ガンが開発したのは知っていたが、彼が「リビング・フォース」の価値観を重視していたからこそ術の完成に繋がったという設定は今回初めて知った。なるほどなぁと素直に感心。
「今に目を向けろ・今を大切にしろ」なんて流行りのビジネス書みたいだが、将来を予測できない現代の現実で最も役立つ『スター・ウォーズ』から学ぶ教えはこのクワイ=ガンの価値観だと思っている。
会社で上司に「これからは『リビング・フォース』の姿勢で勤めようと思います。今が大事なので今日は定時退社します」となんて言えば「は?」という顔をされて、フォースチョークされかねないので心の内に秘めるモットーとしよう。
ちなみに、これまでシリーズを一緒に観てきた相方氏もクワイ=ガンが大変お気に入り。渋みとカッコ良さ、そしてやはり頼りになる感が好きらしい。
「初めてジェダイが有能だと思えたわー」と述べる相方氏に激しく同意だが、エピソード3の評議会の無能ぷりを目にした時の感想が今から怖い。
ライトセイバーの殺陣のシーンがめちゃくちゃかっこいい
最後の理由はライトセイバーの戦闘シーンが素晴らしいこと。
旧三部作も後の作品になるにつれてライトセイバーの殺陣シーンの質は上がっていったが、本作はダンチである。さすが16年も経つと違う。
そもそもライトセイバーの戦闘シーンが多いのが良い。旧作ではライトセイバーはここぞというときの決闘シーン的な位置づけで使われることが多かったが、新作は戦争の道具としてバンバン使われている。
ドロイド兵の銃弾を弾きつつ、バッサバッサとなぎ倒す感じは超快感。はやくスター・ウォーズ無双が作られないものか。
使い手が多いのもいい。ラストのクワイ=ガンとオビ=ワンvsダース・モールのバトルは後続作品のEP2、3を観たあとでもベストバウトTOP3に位置する。
とあるブロガーさんから教えて頂いたのだが、ダース・モールの役者さんは本家のスタントマンらしい。アクロバティックで迫力のある殺陣シーンなのも頷ける。
余談だが小学校の頃、ワタシはダース・モールがあまり好きではなかった。真っ赤な顔のヴィジュアルがダース・ベイダーに比べるとカッコ悪いと思ってたし、今でこそアクロバティックだと称賛する鳶職のような動きにも、スマートさを感じなかったからだ。
しかしやや老い気味とはいえジェダイ・マスターであるクワイ=ガンとパダワンの中ではかなり優秀とされているオビ=ワンの2人相手に劣ることなく、むしろクワイ=ガンを倒してしまう彼は、相当強キャラに位置していたんだなぁとその評価を改めた。
ルーク最強説を唱えた過去記事で、「ルークがEP1の世界に行けばダース・モールなんてイチコロよ!」なんて言っていたが、その言葉も思わず撤回したくなる。(それでもルークが最強だと信じているので、撤回しないが)
以上!ワタシが『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』が1番好きな理由でした!2記事に分けた割にはだいぶ長くなってしまった……。読者の皆様の1番好きなエピソードはどれですか?
あとがき
というか今回のオチ。
シリーズも後半に入り時系列も飛んだこともあり、シリーズ初見の相方氏に色々と背景や設定などを解説しながら観賞会を進めていた。
「この可愛い少年が後のダース・ベイダーになっちゃうんだよ」とか「これが若かりしオビ=ワンだよ」とか。
相方氏も「へ〜」とか「なるほどね〜」とか言いながら楽しんでいる様子だったが、エンディングロールが終わったあとこんなことを言い出した。
「クワイ=ガンが渋くてカッコイイね!オビ=ワンも誠実な若者って感じで好き!でもなんでこんな誠実で真面目な若者があんな女好きのチャランポランになっちゃったの?」
……?
よくよく聞くととオビ=ワンとハン・ソロを混同しており、ハン・ソロの若かりし頃だと思ってずっと観ていたらしい。
妻よ。あまりのガックシ具合に旦那は危うく暗黒面に墜ちるところだったよ。