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【ネタバレあり】映画『七つの会議』| 日本企業で働くサラリーマンは"是非とも"観てほしい企業エンタメ

こんにちは。ありひと(@rihito_ymoymo)です。

平日有休を利用して、映画『七つの会議』を観てきました。大和田常務香川照之さんの演技を目的に行ったわけですが、期待を裏切らない作品でした。 

あらすじ

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都内にある中堅メーカー・東京建電。営業一課の万年係長・八角民夫(野村萬斎)はどこの会社にもいる、所謂“ぐうたら社員”。 トップセールスマンである課長の坂戸(片岡愛之助)からはその怠惰ぶりを叱責されるが、ノルマも最低限しか果さず、定例の営業会議では傍観しているのみ。 絶対的な存在の営業部長・北川誠(香川照之)が進める結果主義の方針の元で部員が寝る間を惜しんで働く中、一人飄々と日々を送っていた。 ある日突然、社内で起こった坂戸のパワハラ騒動。 そして、下された異動処分。訴えた当事者は年上の部下、八角だった。 北川の信頼も厚いエース・坂戸に対するパワハラ委員会の不可解な裁定に揺れる社員たち。 そんな中、万年二番手に甘んじてきた原島及川光博)が新課長として着任する。 会社の“顔”である一課で、成績を上げられずに場違いすら感じる原島。 誰しもが経験するサラリーマンとしての戦いと葛藤。 だが、そこには想像を絶する秘密と闇が隠されていた……。*1

https://youtu.be/IQ6tY_E5JJk

原作は池井戸潤の小説。今や『半沢直樹』『下町ロケット』『空飛ぶタイヤ』など数々のドラマ・映画原作を生み出している大ヒットメーカーですよね。

 

こんな人に是非ともオススメな映画

日本企業で働いている人は是非とも

本作は会社という組織のあり方、そして日本企業の体質に対してメッセージ性の強い作品となっています。

もっとくだけた表現をすると日本企業のあるあるのオンパレードです。

上司の言うことはゼッタイの厳しい上下関係、常に課せられるノルマと緊張感。

日本企業、特に昔からある企業で働いているサラリーマンの方が観たらウンウン、あるあると頷くシーンが多くあるのではないでしょうか。(私もそうでした)

 

ドラマ『半沢直樹』を観てた人は是非とも

本作にはこれでもかと言わんばかりの豪華俳優陣が出演されています。そして、その多くがドラマ『半沢直樹』に出演していたキャストばかり。

私も『半沢直樹』はハマり、大和田常務を演じた香川照之さんの演技がとても好きになりました。冒頭でも述べましたが、香川さんの演技を楽しみに映画館に足を運んだと言っても過言ではないです。

映画を観ていると、「あ。小木曽次長、今回はちょっとしか机バンしないな」とか「半沢ではあんなにクールだったミッチー、ゲ●吐いてる」とか同じ企業エンタメでありながら半沢直樹と違ったキャラを演じる俳優たちを楽しむことができます。でも唯一ブレないのが香川照之。安定の香川照之です。今回も素晴らしい表情の数々で魅せてくれました。

 

ネタバレなし感想

あらすじにもあるように、本作ではグウタラお荷物社員である八角が営業部のエースである板戸をパワハラで訴えるところから物語が動き出します。

なぜ北川部長は優秀な板戸を守らず、八角の訴えを承認し板戸を左遷したのか?八角は何者なのか?この八角の正体の謎が物語の軸です。

半沢直樹はTHE正義を掲げた実直な人間でした。自身の信念を貫くためなら荒っぽいコトを行うこともありましたが、基本は正義のヒーローと言って良いタイプだと思います。

しかし、八角は違います。八角が良いやつなのか、実は悪いやつなのか、作中の人間も映画を観ている人もその正体がわからないまま話が進んでいく。そのハラハラ感がこの映画の面白いところだと感じました。

 

以降はより具体的な作中のシーンについて言及しています。ネタバレありなのでご注意ください。

 

 

 

 

 

ネタバレあり感想

ネジを握りしめる香川照之が印象的

詳細は割愛しますが、結局のところ組織が隠していた秘密というのは、業者と協力してデータ改ざんによりコスト削減した不良ネジを使っていたことです。

 

不正とその元凶を突き止めた八角は、その情報を本社に告発するも本社の社長はリコールすることを拒否。それどころかその事実を隠蔽するために、証拠となる資料や不良ネジをすべて回収、処分してしまいます。

 

完全に打つ手がなくなった八角ですが、そこにネジを握りしめた北川が現れます。北川は入社以来ずっと己を殺し出世のために組織と上層部に従ってきました。しかし、もう一度正しくあろうという信念を取り戻し、唯一残っていた1本のネジを八角にわたすのです。

ドラマ『半沢直樹』では主人公半沢(堺雅人)が大和田(香川照之)によって父親が自殺に追い込まれたことを悔しく思い、ネジに血がつくほど強く握りしめるシーンがあります。

奇しくも今回はその香川が演じる北川がネジを握りしめているのが、とても印象的でした。これが狙った演出なのかどうかはわかりませんが、『半沢直樹』を観ていた方なら思うところがあるシーンだったんじゃないでしょうか。

 

エンディングで野村萬斎が企業の不正について語る

もう1つ印象的だったシーンがエンディングです。スタッフロールが流れる中、八角が企業の不正について熱く語ります。

彼の話した内容を要約すると「企業の不正は絶対になくならない。それはサムライの時代の頃からある藩、会社といった組織に従うことを美徳とする日本人のDNAによるものなのではないか。だから『ダメなものはダメ!』子供のようにうるさく伝えて、戦っていくしかない」とこんな感じです。

このエンディングこそが本作で最も伝えたいメッセージではないかと感じました。作中で八角は「不正を生み出したのは、上司により代々作られてきたこの"営業部の体質"」と表現しましたが、そもそも"国としての体質"というものがあるのかもしれませんね。

 

最後に余談

この作品、観終わったあとに無性にドーナッツが食べたくなる。映画館の帰りにセブンに寄ってドーナッツを買おうとしたらバッチリコラボししてました。まんまとやられた気分です。 

七つの会議 (集英社文庫)

七つの会議 (集英社文庫)

 

 

では、今日もこのへんで!次回もよろくどうぞ。ありひとでした!

*1:Filmarksより引用