【ネタバレあり】映画『マレフィセント2』感想
前回記事の『ジョーカー』より前に観ていたものの『ジョーカー』の衝撃が強すぎて、そっちを先に記事にしてしまった。
少し時間が経ってしまったけれど、感想を綴っておく。
前作にあたる『マレフィセント』は2014年の映画で、かの有名なディズニーアニメ作品『眠れる森の美女』の実写リメイク。
しかもただのリメイクではなく、ヴィランである魔女マレフィセントの視点から描き、プリンセス・オーロラ姫との親子愛を描いたなかなか特殊な作品だった。
本作は主演のアンジェリーナ・ジョリーを含め主要キャストが続投し、前作の正当な続編として「その後」の物語が描かれる。
*この先はネタバレを含むのでまだ観てない方はご注意ください*
映像の美しさや、マレフィセントの戦闘シーンでの無双ぷりは見応えがあった。一方でラストは無理やりハッピーエンド感に持っていった感は否めない。
「ディズニーだしね」と言ってしまえばそれまでだが、あんな簡単に割り切れるものなのだろうか。
あれだけ憎み合い、終盤の戦争でもバンバン殺し合っていた妖精と人間が最後はヘタレ王子とオーロラ姫の式を暖かく祝福するというのは、なかなか予定調和を感じた。とにかく皆んなでお祝いするシーンで映画を締めたかったんだろうなぁと思ってしまう。
ただ少しポジティブな感想を持つとしたらどんな種族、どんな人間(妖精)であっても根底では「平和な方がいい」と思っているということなのかもしれない。
「大義とか自分たちの大切な何かを守るために戦わざるを得ないけど、やらなくて済むなら戦争なんかしたくない。」
そんな気持ちが誰にでもある世界なのかもしれない。我々が生きる現実世界もそうであることを強く願う。
他に印象に残っているのは、妖精達のルーツについて描かれたいたこと。
本作では人間側の武器として、妖精が苦手な鉄の粉と妖精の花と呼ばれる妖精界の植物を調合した粉が出てくる。
この粉を浴びた妖精は自我を消失し、元の自然界の姿に戻ってしまう。例えばタンポポの綿毛の妖精ならタンポポの綿毛に、木の妖精なら大木にもどる。
このシーンを観て初めて本作における妖精がどういった存在なのかを知った。要は日本のつくも神に近い。
つくも神は使い古された道具に神や精霊が宿ったりモノによっては妖怪化するが、『マレフィセント』における妖精も植物がモチーフになっていて妖精に変身していたらしい。
さて、こうなってくると気になるのはマレフィセント自身が何の妖精か?だ。
本作で、彼女は不死鳥を起源とする「闇の妖精」という種族であることが明かされる。
他の妖精と同じであれば「闇の妖精」も何かしら元になっている自然界の存在があると思い、楽しみにしていた。
だが、残念ながら特に設定はなかったようで、粉を浴びた「闇の妖精」たちは普通にチリとなって消滅してしまった。
「闇の妖精」いうからにはせめて闇から生まれた存在であることがわかるようなエフェクトがあれば納得するのだが、そこまでは練られてなかったようだ。
総括すると人気作だったので続編を作りました感が否めなかった。アンジェリーナ・ジョリーが好き、または本作の世界観が好きなら、まぁ観て損はないと感じ。そうでなければ無理と観る必要はないと思う。