【ネタバレあり】映画『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』| 『ルパン三世 THE FIRST』でも同じことやったらホンモノ
世間の話題に乗り遅れつつも、やっと昨日、映画『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』を友人と観てきた。
なるほど。こりゃ賛否両論。炎上するけだわ!(笑)
公開直後SNS等で盛り上がった理由がよくわかった。ちなみに結論だけ先に書くと、ワタシは結構好きでしたよ。
ということで、感想を書いていく。記事前半は本作の核心となるようなネタバレは、なしで書いていくが、原作ゲームである『ドラゴンクエストV 天空の花嫁』自体のネタバレはありきで書いてしまう。
もし、ゲーム自体も未プレイで、その内容すらも知りたくない!という方は、ブラウザバックくしてもらった方が安全です。
自分の本作に対する思い
実はワタシ、原作である『ドラクエV』は未プレイである。
主人公がめちゃくちゃ不遇な作品で、幼い頃に父親を目の前で殺され、長い間奴隷として働き、脱走してせっかく結婚したのに石にされ、しかも自分は勇者じゃなかった。といった重要なファクターは知識として知っているが、未プレイである。
当然、恋愛要素がありビアンカ派とフローラ派の論争があったことも知っているが、未プレイである。
なので、「小さい頃にゲームをやり込んだ!」みたいな強い思い入れはなく、ただ上映が決まった段階でゲーム・アニメ好きの友人となんとなく行こうかという流れになっていた。
SNSでとても話題になったが、ネタバレは回避してきた
そんな感じで、強いモチベーションはなかったが、いざ公開されるとネットで大きな話題になった本作。どちらかといえば炎上気味の賛否両論が飛び交った。こうなってくると観るモチベーションは上がってくるのだが、どうせ観に行くのならと極力ネタバレは避けた。
ただ何となく感じ取ったのは「ラストがやばい」という雰囲気。それ以外は、ほぼ前知識を入れることなく昨日は臨んだ。結果的にネタバレを知らないまま、観られたことは本当に良かったと思っている。
ざっとあらすじ
さて、あらすじを軽く振り返っておく。
かつて世を恐怖で支配していた、魔王ミルドラースは天空人という存在によって封じられた。ミルドラース復活を目論む魔道士ゲマは、封印を解く方法を知る天空人の末裔で、主人公リュカの母であるマーサを誘拐する。妻であるマーサを取り戻すため、パパスと息子のリュカは旅に出た。
このあとは、皆さんご存知の展開である。パパスは死んで、成長した主人公リュカは、ヒロインであるビアンカとフローラと出会い、子供を作る。(どちらを選んだかは、念のためここでは触れないでおく。予告とか観たらだいたいわかるのかもしれないけど)
そして、子供と妻ともに父の仇ゲマを倒す。
原作未プレイなので細かな差異はわからなかったが、だいたいは原作準拠に進んでいた印象だ。
展開はかなり早かった。親子3代の物語を100分程度で収めなければいけないのだから仕方ないのだろうが、やや飛ばしすぎじゃないか?と感じるところもあった。
例えば、マーサ誘拐からパパスの死。序盤あれよあれよとマーサは誘拐され、パパスもあっという間にゲマにやられてしまう。本作の公開が決まった当時、友人と「時間的にパパスは最初の10分くらいで死ぬんじゃね?」と茶化した会話をしていたが、あながち間違っていなかった。
映像技術も音楽も申し分なし
映像はかなり作り込まれてたと思う。特に人間キャラの質感は、アニメのデフォルメ感とCGのリアルさが丁度よい塩梅になっており、CGアニメでありがちな陶器のような質感になっていないのがよかった。(アニゴジとかNetfilixの『ULTRAMAN』のような質感がどうも苦手)ビアンカ可愛かったし。
モンスターも大小のサイズ感をちゃんと表現しつつ、スクリーン内をダイナミックに動くのは迫力があった。(ワタシのお気に入りモンスターが映画仕様に修正されていて、その修正が個人的には微妙だったのが残念だったが)
映像以外では、音楽 もバッチリ。楽曲は『ドラクエV』に留まらず、ドラクエシリーズで有名どこが随所で使われており、観ていてテンション上がる場面が何度もあった。
『ドラクエV』のリメイク映画作品としては、若干飛ばしすぎなところもあったが概ねその役割を果たしていたと思う。一方で、単なる最新CGでの映像化感が個人的には単調で、やや子供向けで退屈かな?と感じていた。ラストを迎えるまでは。
以降、ネタバレありで感想を書いていくのでご注意ください。
本作は結局、「現実世界に生きるサラリーマンがプレイするVR版『ドラゴンクエストV』の世界だった」というオチだった。ネットの一部では「VRオチ」と評されているらしい。ワタシの最初の感想は「うわ〜やられた!そう来たか!」。
ラストはこんな感じ
死闘の末、主人公リュカのパーティはゲマを倒す。しかし、ゲマは最後の力を振り絞りマーサの力を使ってミルドラースが封印されている魔界の扉を開けてしまう。
ついに魔王ミルドラース復活!と思いきや、出てくるのは我々が知ってるミルドラースじゃない。なんかこう、『天元突破グレンラガン』のアンチスパイラルみたいなひょろ長い宇宙人みたいなのが出てくる。
ヴァイスシュヴァルツ 反螺旋族 アンチスパイラル アンコモン GL/S52-092 -U 【天元突破グレンラガン】
- 出版社/メーカー: 株式会社ブシロード(武士道)
- メディア: おもちゃ&ホビー
- この商品を含むブログを見る
やや話が飛ぶが、時間の都合上、今回は「日本語字幕あり 」版で観賞してきた。字幕版だと各キャラが最初にしゃべるきにキャラ名も表示されるので、そのミルドラースらしき何かが第一声を発するときも「(ミルドラース)<以下セリフ〜>」のような字幕が出た。
なので、ワタシは最初「最後の最後インパクトを与えるために、ミルドラースだけオリジナルなデザインにしたんだ。ひゃ〜見る影もないな」と思った。
しかし、真実はワタシの予想をはるか斜め上をいっていたわけだ。
その宇宙人(らしき者)は、「この世界はVRゲームの中の世界であることと、そして自身はこの世界を壊すために送り込まれたウイルスプログラムであること」を主人公リュカに告げる。それを聞いたリュカ自身も、自分がただのサラリーマンでプレイヤーとしてゲームの中に入っている存在であることを思い出す。
ウイルスプログラムは自分の創造主の言葉をリュカに伝える。「ゲームなんかやってないで、大人になれ」と。
最後は当然ウイルスプログラムを倒してゲームの世界を守る。そして、タイトルの「YOUR STORY」は、子供時代『ドラクエV』に夢中になり、サラリーマンになっても、その時の思い出を大切にしている主人公と、その主人公と同じ気持ちでこの映画を観に来たであろうアナタの物語って意味だよ、というメッセージを感じさせつつ本作は終わる。
んで、このラストの展開が大炎上。特にゲーマーの方からの批判がすごいらしい。まぁ確かに。賛否両論分かれるだろうなとはしみじみ思う。
ただ、冒頭に書いたとおりワタシは結構このオチが好きだった。前述したが、単純な3DCGでのリメイクに若干の物足りなさを感じていたからだ。
原作に熱中していた世代が、大人になり、VRが一般的になってきているこのタイミングだからこそできたオチだと思うし、チープな表現だが作り手のの工夫が感じられた。
ただ多くの人、特に原作に熱中した人からすると、それこそ純粋な映像化を求めていたらしい。純粋に世界観に入りたかったんだろう。
一緒に行った友人は「奴隷で苦しかった期間も、石にされて子供の成長を見られなかったと後悔した期間も、結局とあるサラリーマンの数時間のプレイ時間だったんだぞ?ドン引きだわ」と大変お怒りだった。思い入れの強い人ほど、今回の試みは受け入れられなかったのだろう。
監督は山崎貴さん
後で知ったことなのだが、本作の監督・脚本は『ALWAYS 三丁目の夕日』『永遠の0』『DESTINY 鎌倉ものがたり』などを手掛けた山崎貴さんだったらしい。確かにどの作品も単純じゃない、何か心に引っかかりを持たせる作品ばかりだ。
売れっ子監督で、現在も本作だけじゃなく菅田将暉主演の監督作『アルキメデスの大戦 』が並行して上映されている。こちらは両手離しでかなり面白いらしい。
本作上映前の予告では、ルパン三世の初3DCGアニメ映画として『ルパン三世 THE FIRST』が紹介されており、こちらも山崎貴監督らしい。
『ルパン三世 THE FIRST』でもラストで「実はルパン三世になりきれるVRゲームの中の世界でした」っていうオチだったら、ワタシはこの監督の作品をずっと追い続けると心に誓おう。