【書評】『習慣が10割』
吉井雅之さんの『習慣が10割』を読んだ。
こんな人にオススメ
本書は以下のような人にオススメ。
- 「習慣」が人生にどう影響するのか、いまいちピンと来ない人
- 何かを習慣化したいときに結局、どうすればよいのか簡単に知りたい人
- 習慣化の仕組みを知りたい人
1つ目は、そもそも「なんで習慣が大切なの?」と思っている人。言い換えると習慣をテーマにしたビジネス書(以降、勝手に習慣本と呼ぶ)をこれまで1冊も読んだことない人向け。本書では「第1章 人生は「習慣が10割」」で、なぜ「習慣が10割」なのかを解説し、人生における習慣の重要性を教えてくれる。
2つ目は、「習慣が大切なのはわかってんだよ!手っ取り早くランニングを習慣化する方法を教えてくれよ!」って人向け。ランニングは例であるが、何かを習慣化するためのノウハウを、本書はとてもシンプルにまとめてくれている。
3つ目は、方法だけではなく、その根拠まで知りたい人向け。なぜ習慣になるのか/ならないかの理由を脳の仕組みにまで踏み込んでくれるので、理由がないと納得できないという人にもオススメ。
習慣化の最もシンプルな技術
習慣を作り上げる方法は、あなたが思っている以上にとてもシンプルなのです。
習慣とは、言い換えれば「自分との約束を守ること」
「毎日走る」「毎日ブログを更新する」「タバコを辞める」といった習慣は、まさに自分との約束だ。この自分との約束を守り続けさえすれば、自ずとそれは習慣となる。
その簡単なことができないから苦労してるんだ!って怒りたくなる気持ちも重々わかってますよ。わかるけど、この一文は大元の前提はとても簡単なことなんだよって改めて気づかさせてくれた。この一文に出会えただけでも、本書を読んだ価値があった。
当然、習慣化のための具体的な方法やコツも本書では紹介されているので、ご安心を。
以降では、その方法について引用を交えつつ紹介。
意思・やる気に頼らず、仕組みに頼る
習慣を始める時、最初は誰もが「今度こそ続けるぞ!」という意欲に満ちています。問題は、それが長続きしないことです。「これをやるぞ」という熱い思いがなければ、何かをやり遂げることはできません。ただし、その熱量が継続しにくいのもまた事実です。そこで重要なのが、「仕組み」を作ること。
「明日から頑張る!」これまで、どれだけの日本人がつぶやいてきた、または心に誓ってきた言葉だろう。「海賊王にオレはなる!」なんて目じゃない。
当然、ワタシもお得意の決め台詞である。
人の意思なんて全くもって役に立たない。自分との約束を守るためには、やる気ではなく、仕組みが必要なのだ。
本書ではその仕組みを作る方法として
- 時間と場所を決めること
- 他人を巻き込むこと
の2つを挙げている。2つ目は、周囲に宣言することで自分を追い込むやり方だ。SNS、家族、友人、誰でもいいので習慣にしたい行動を伝えておくことで、監視役にもなってくれるし、自分のモチベーション維持にもつながる。
どちらかといえば、ワタシは1つ目が大切だと思っていて、これは他の習慣本でもよく言われている。「いつ・どこで・どのように」まで予め決めておくことで、初めて人はスムーズに行動できる。スケジュールに予め落とし込んでおくのも良いと思う。
"脳"が楽しいと思うことが、続けられる
続く習慣と続かない習慣の違いはどこにあるのか。それは、「脳が楽しいと感じるか、感じないか」です。
五感から脳に入った情報は、扁桃核という部位が「快・不快」を判断します。そして「快(=好き・楽しい・嬉しい・ワクワクなど)」を感じたものには、みずから接近していきます。これを「接近反応」と言います。一方、「不快(=嫌い・退屈・悲しい・ムカムカなど)」を感じたものから、遠ざかろうとします。これを「回避反応」と言います。
脳は「正しい」かどうかではなく、「楽しい」かどうかでモノゴトを判断するらしい。だから「スマホゲームに時間を浪費することより、勉強したほうが正しい」と思っていても、結局スマホをいじる方が楽しいので、そっちを優先してしまう。
なので、習慣化のためには、いかにその行動を"楽しいもの"、"ワクワクするもの"だと脳に信じ込ませるかが大切になってくる。
それはその行動に伴う直接的な対価でなくてもいい。例えば本書では、次のような例を挙げている。
あなたは英語の勉強が苦手で、これまで何度も挫折したとしましょう。
ところがある英会話スクールへ行ってみたら、教えてくれる先生があなたの大好きなハリウッド俳優(または女優)にそっくりでした。となれば、あなたはその先生に会うのが楽しくて、サボることなく英会話スクールに通い続けるのではないでしょうか。
別に英語そのものが好きではなくても、スクールに通うのが楽しくなれば、結果的に英語の勉強が習慣になります。
毎日同じ時間にランニングすれば、近所に住むタイプのお姉さんが犬の散歩をしているのに必ず鉢合う、となればランニングは必ず習慣化されるだろう。
つまりはそういうことだ。別に走ることで流す汗が気持ちいいとか、足腰が鍛えられて体力がついたことが嬉しいとかに、ランニングによる直接的なリターンにフォーカスして楽しさを見出す必要はない。
まとめ
ワタシはビジネス書好きなので、「習慣」をテーマにしたビジネス書も結構読んでいる。その中でも本書は良い意味で典型的な「習慣さえコントロールできれば、人生全てうまくいく」進研ゼミ付録マンガ系のビジネス書だった。(進研ゼミの付録マンガは、進研ゼミさえやってれば、勉強は当然のこと恋愛も部活もうまくいくよね。アレと同じで本書では、進研ゼミではなく習慣を推している)
ワタシも「習慣が重要である」という考えには、かなり同意で、習慣をコントロールできている人=1日の時間の使い方をコントロールできている人だと思うから。そして、多くの成功者はやっぱり時間の使い方を大切にしている。時間だけが、生まれも育ちも才能も関係なく平等に与えられたリソースだしね。
なので、習慣の大切さを伝える導入から入り、具体的な習慣化の技術につながっていく本書は初めて読む習慣本として、オススメだ。
逆に、これまでに習慣本を何冊か読んだことある人には、これまでの復習的な位置づけになってしまうと思うので予めご了承を。