【読書感想】『後悔しない超選択術』
絶対的に正しい選択なんて存在しない!少しでも後悔しないためには選択をするための知識を体系的に学べる一冊。
本の概要
著者はメンタリストのDaigoさん。一時期はテレビでもたくさん活躍されてたので知ってる方も多いと思う。今は論文や書籍を読み漁り、科学的な根拠に基づいて日々の仕事や生活に役立つ情報をニコニコ動画や書籍にて発信する活動をメインにしている気がする。
書店に行けばDaigoさんの「超◯◯術」みたいなタイトルでDaigo氏のビジネス本がたくさん並んでいる。ワタシも結構買って読んでいる。
その中で本書はタイトル通り、「どうすれば後悔しない選択ができるのか?」にフォーカスしたビジネス書。
人間は1日のうちに約70回の選択を行うらしい。その中には「今日のお昼、何食べようか?」という小さなものから「転職しようか、しまいか」など人生を左右するような大きなものもあるだろう。
著者曰く、その選択の積み重ねが幸せな人生を送れるかどうかに繋がっていくとのこと。では「正しい選択」なんてものはあるのだろうか。
Daigoさんが言うには、答えはNO!なぜならば未来のことは誰にもわからず、その選択が絶対的に正しかったかどうかなんて、決断した段階では評価できないから。
では人生を幸せにするために必要ない選択とは?それが「後悔しない選択」。
こんな人にオススメ
- 過去に自分が選択したことを振り返ると「あーしておけばよかった」と後悔することが多い人
- 逆に自分は過去の経験と知恵で常にバシッと決断できていると思ってる人
- 熟練した刑事の方がその辺の素人よりウソを見抜く能力に長けてると思う人
1.は言わずもがな。本書を読むことで後悔しない選択をするために背景知識から習慣、トレーニングを学ぶことができる。
2.は1.とは逆のタイプの人。常に自分の選択に自信がある人でも、実はその選択は自分でしてない可能性がある。即ち思い込みによる選択。「脳が思い込みによって物事を選択することがある」この事実を知るだけでも、選択の幅は広がっていくと感じた。
3.だと思ってる人は是非本書を読んでみてください。なるほど~と頷くはず。
この本の良い点!ズバリ3つ!
- 自分がどんな「意思決定スタイル」なのかがわかる
- 後悔しない選択をするために必要な心構えを知ることができる
- 判断力を鈍らせ、後悔しない選択の邪魔となる「バイアス」について学ぶことができる
1. 自分がどんな「意思決定スタイル」なのかがわかる
本書では5つの「意思決定スタイル」が定義されている。「意思決定スタイル」とは、人が物事を決断する時の傾向をタイプごとに分けた型のこと。
わかりやすい例を2つ挙げると「合理的スタイル」と「直感的スタイル」です。これらはその名前からどんなスタイルかなんとなく想像がつくと思う。
当然本書で目指すべきとしているのは「合理的スタイル」。過去の経験や思い込み、感情にとらわれることなく都度都度、合理的に選択していくタイプ。
その他にも3つのスタイルがあるわけだが、簡単なQ&Aに答えることで自分に近いスタイルを知ることができる。
自分の傾向や特徴を把握することは、俯瞰するという意味でとても大切こと。あと日本人って血液型とか六星占術の〇〇星人とかタイプ分けされるの好きじゃないですか。そういった面でも自分がどのスタイルなのか知るのは面白いと思う。
2. 後悔しない選択をするために必要な心構えを知ることができる
本書の2章では、「後悔しない選択 」をするための6つの準備について書かれている。ワタシが気に入ったのは「準備⑥ プランやコストを明確化する」こと。漫然と思考していると選択が非合理的になってしまうため、きちんとプランとコストに軸を持とう、という話が紹介されている。
特にハッとさせられたのが、時間をお金に換算したモノサシとして持つことで無駄を省く「コストベネフィット」と呼ばれる考え方。
本書では以下のようなサラリーマンの例が挙げられている。
- 毎日8時間会社で仕事をする
- 通勤にも往復2時間かかっている
- 月21日働く
- 手取りは30万
この場合、このサラリーマンは月に210時間会社に費やしていることになり、時間に換算すると1時間あたり約1,400円の給料を貰っていることになる。言い換えればこのサラリーマンは1時間で1,400円の価値を生み出す人間ということになる。
じゃあこの人が大人気ラーメン店で800円のラーメンを食べるために、1時間並んだとしたら、結果的に2,200円のコストを払ったと考えることができる。
もちろん美味しいラーメンを食べる、という価値を手に入れることができるが、それだったら30分で食事を済ませ、残り30分は勉強や読書に当てたほうが良いのではないか?という考えもある。
このように時間をお金に換算し、選択するための尺度として使うのが「コストベネフィット」と呼ばれる考え方らしい。
ワタシの1時間に生み出す価値なんかは、とてもこの場に書けるような立派なものではなく、二度と蒙古タンメンを食べるために中本に並ばないと誓った。(いや、どうだろう……。月に1回くらいはいいか……)
3. 判断力を鈍らせ、後悔しない選択の邪魔となる「バイアス」について学ぶことができる
「バイアス」とは経験からくる先入観や偏った判断のこと。バイアスによって判断力が鈍り、合理的な判断ができなくなってしまう。
わかりやすい例は「正常性バイアス」。オレオレ詐欺の被害にあったなどのニュースを観ても「自分は大丈夫」だと思いこんでしまい、結果的に自身も被害にあってしまう例なんかがそうらしい。
本書では5つのバイアスとそれらのバイアスに惑わされない方法が紹介されている。
その中でワタシが「うんうん。あるある〜」と納得したが「サンクコストバイアス」。
元々は会計用語らしく、すでに支払ってしまった費用や時間を回収するために合理的な判断が取れない状態に陥らせるバイアスのこと。
本書で挙げられている例は、つまらない映画についてだった。
1,800円払って観始めた映画が最初の15分くらいで「絶対に面白くない、自分には合わない」と確信しても既に払った1,800円が勿体ないと思う気持ちから最後まで観てしまう。これもサンクコストバイアスの影響だ。
1,800円くらいなら切り捨てて残りの時間を趣味や勉強に当てた方が良いと考えるのが合理的なのだろうが、それが中々できない。
この話は漫画『インベスターZ』の第1話でも取り上げられていた記憶がある。投資にはまさに合理的な判断が必要なのだろう。
ワタシは幸いそういった映画館でそういった経験はないのだが、古本屋に行くとよく同じような経験をする。
元々ほしい本が中古で安く売ってないかと立ち寄るのだが、目的の本はなかった。じゃあ掘り出し物がないかと、プラプラと探してみるが結局ピンとくるものがない。それでも何かないかと思って結局1時間くらい古本屋で時間を過ごしてしまう。
1時間といえば先のコストベネフィットの考えで言えばピカピカの新品ビジネス書が変えてしまうだけの時間であり、「そこまで時間をかけたのだから、何か買わなきゃ勿体ない」ということで、大してほしくないビジネス書を何冊も買って変えるなんてのはよくあるパターンだ。我ながら結構愚かですな……。
一言感想
Daigoさんの本をよく読む者としては、前々から書店で気になっていた本書。有り難いことにPrime Readingで無料で読めた。
Daigoさんの本はその本のテーマに即した科学的根拠に基づく豊富なTipsが特徴だと感じている。本書でも「後悔しない選択」を回避するためのノウハウが目白押しで、選択することが苦手という人にはぜひ読んでほしい。
ただ1点とても残念なのは、Kindle版がハイライト機能が使えないレイアウトになっていること。もしKindleでの購入を検討している人は注意してほしい。